- 投稿 2015/03/03 更新 2018/11/07
- 中央競馬騎手 - C・ルメール騎手
ルメール騎手、ツイッターの代償は大きい!!
日本競馬の歴史に新たな1ページが刻まれた日となるはずが…。外国人騎手として初めて通年での日本中央競馬会(JRA)騎手免許を取得。1日がJRA初日になるはずだったフランスのクリストフ・ルメール騎手(35=栗東)は、前日(2月28日)の阪神競馬場調整ルーム内において、携帯電話を使用して外部と通信。業務上の注意義務を違反したとして、3月1日から30日まで、30日間の騎乗停止処分を受けた。日本のルールを知っていたはずの名手のまさかの失態。その代償は計り知れない。
JRAの事情聴取によると、携帯電話に知人からツイッター(簡易投稿サイト)にツイート(投稿)が入り、それに対して2回リツイート(他人の書き込みを再投稿することで転載すること)。この行為が、日本中央競馬会競馬施行規程における「競馬の公正確保について業務上の注意義務」への違反となった。
過去に同様の事件を起こした2011年の大江原圭、13年の原田敬伍のケースと同じ、30日間の騎乗停止。これによりGIII阪急杯のオリービン(太宰に変更)など、1日の全6鞍が乗り替わりに。
1日朝にJRAから連絡を受けたオリービンを管理する橋口弘調教師は「ずっと(短期免許で)日本に来ていたのに…。知らなかったのかな」と困惑した表情を浮かべた。
JRAでは11年の大江原騎手の事件以降、調整ルームにセーフティーボックスを設置。そこに各騎手が電源を切って通信機器を入れるシステムを運用している。ただ、職員が管理しているわけではなく、各自の自己責任に任せていた。
ルメールは「この度は私の不注意でご迷惑をかけて本当に申し訳ありませんでした」とJRAを通じてコメント。
一方、庄村之伸裁決委員は「携帯電話以外にも対外的通信機器が数多くあり、完璧に把握できるのかという点もある。今後は騎手クラブと改善策を考えていきたい」と話した。
携帯電話の扱いが“自己責任”では、他の公営競技に比べてあまりにルーズ過ぎるという主催者側の問題点もあるが、いずれにせよ、この失態でルメール自身が負った損失はあまりに大きい。
30日間の騎乗停止により、28日のGIドバイシーマクラシック(メイダン競馬場、芝2410メートル)のワンアンドオンリーをはじめとするドバイの騎乗がアウトになっただけでなく、今週末からは3歳牡馬、牝馬クラシックのトライアルがスタートすることから、クラシックへの騎乗にも多大な影響が出ることが予想される。実際、7日のGIIIチューリップ賞(阪神芝外1600メートル)では2戦無敗の素質馬コンテッサトゥーレとのコンビで臨むことが決まっていたが、騎乗が不可能になったことで、本番のGI桜花賞(4月12日=阪神芝外1600メートル)でのお手馬も不透明なものに…。
レース賞金の5%が騎手の取り分。チューリップ賞でいえば1着賞金3400万円の5%は170万円に過ぎないが、ルメールクラスの名手ならひと開催で2桁の勝ち星は十分に可能だ。しかも上位着順などの賞金獲得に加え、前述通り、騎乗停止後に始まるクラシックの騎乗馬にも影響が及ぶことになれば…。ルメールはこの失態であまりに大きな“代償”を負うことになる。