- 投稿 2016/04/27 更新 2018/11/07
- 中央競馬騎手 - 吉田隼人騎手
「天皇賞(春)・G1」(5月1日、京都)
主役候補は目下5連勝中と勢いに乗る昨年の有馬記念優勝馬ゴールドアクター。春盾初出場の鞍上・吉田隼は、同レース4勝の元ジョッキー・岡部幸雄氏からレース攻略の貴重なアドバイスを得た。
20日行われたゴールドアクターの1週前追い切りにまたがった直後、吉田隼は岡部幸雄JRAアドバイザーの姿を目にし、歩み寄った。騎手時代、天皇賞・春を4勝した同氏から、京都3200メートル攻略の極意を聞き出すためだ。
吉田隼(以下吉)「気を付けるべき点を教えてください」
岡部さん(以下岡)「まず速いスタートを切ってテンの位置を決め、ムダに動かない。ゴールドアクターはスタートが上手だからできるだろう」
吉「自分としてはテン良し中良し、しまい良しの馬だと思っていますが」
岡「いや、3200メートルを目いっぱい走らせたら、どんな馬だって持たない。道中、いかに気を抜かせるかが鍵になる」
吉「枠順の内外の有利不利はありますか?」
岡「内には内の、外には外の利がある。外枠でも1周目、楽に走らせれば必ず内に潜り込むチャンスは来る。決めつけないで、レース前にシミュレーションをすることが大事」
吉「2周目3角の下りから最後の直線に向くまでのポイントは?」
岡「下り坂で外々へ振られるのが一番いけない。理想は内3頭分までをキープして脚をためること。とにかく我慢だ。待てば追ってはじける。隼人は常時、中央場所で乗れるジョッキーになりたいだろう?」
吉「もちろんです」
岡「だったらビッグレースでも勝ちを意識しすぎたら駄目。馬にプレッシャーをかけるな。ゴールドアクターは大きな可能性を秘めた馬なんだから」
吉「ありがとうございました!」
20分以上に及んだ岡部氏の熱血指導。往年の名手の教えから得たものは大きいはずだ。
吉田隼人騎手にインタビュー
◆第153回天皇賞(春)G1(5月1日、京都・芝3200メートル)
第153回天皇賞・春(5月1日、京都・芝3200メートル)で、昨年の有馬記念の勝ち馬ゴールドアクターが主役の一頭として登場する。パートナーとともにグランプリでG1初制覇を果たした吉田隼人騎手(32)=美浦・フリー=にとって、春の盾は初騎乗。グランプリホースのすべてを知る男に、大一番を前にしての思いを聞いた。(聞き手・西山 智昭)
―ゴールドアクターと8戦して7勝、3着1回。すごい相性の良さだ。
「正直、菊花賞(14年)で3着に来た時はよく頑張ってくれたという感じでした。どこかで重賞に手が届けばいいなと思っていたんですけど、菊花賞から間隔を空けて馬が良くなりました。ひとつひとつ段階を踏んで力をつけてきた馬ですね」
―人馬ともにG1初勝利となった有馬記念の約1か月前に右膝蓋(しつがい)骨を亀裂骨折。執念の騎乗だった。
「実際にはしゃがめないくらい痛かった。リハビリでも140度くらいしか膝が曲がらなかった。木馬では痛くなかったが、実際に馬に乗ったら反動がすごくて。有馬記念は痛み止めの注射をして臨みました。皿にヒビが入っていたんですが、それがパリンとなってもいいという覚悟でした」
―そんなリスクを負ってでも乗りたかった。
「ここでコンビを離れては駄目だというのはありました。先生(中川調教師)もオーナーも、有馬記念に乗れなくても次は戻すと言ってくれたんですけど。最高の結果になったわけですから、本当に良かったなと」
―今年初戦だった日経賞も勝って5連勝。グランプリVがフロックではなかったと証明した。
「連勝する馬って、ズバ抜けて強いイメージがあるんです。ディープインパクトとかオルフェーヴルみたいに、瞬発力に優れていたり、スタミナが豊富だったり。僕の馬はどこかのピースが抜けたり崩れたりしたら、負けていた気もする。ただ、前走で試した競馬で差し切れたので、力をつけていると確認はできた」
―試した部分とは。
「有馬記念は意識的に出していったんですけど、今回は出たなりの競馬をしました。1番人気のサウンズオブアースが相手だろうなと思って、この馬を追いかけてどうなるのかなと」
―58キロを背負って、強い内容だった。
「馬がいつも以上に頑張ってくれたんだと思うんです。『ああいう展開(スローペース)は、しんどかったよおー』みたいに言われた気がして(苦笑い)。『もうちょっと平均的に走った方が俺は走りやすいんだよ。だけど、有馬記念で勝った相手だから負けられなかったよ』的な気持ちで走る馬だと思うんです」
―メンタルが強いタイプなのか。
「特に有馬を勝ってからは、堂々として自信を持ってきたような雰囲気が出てきましたね。G1馬の風格のような」
―この馬のセールスポイントを言葉にすると。
「いまだに分からないんです。物差しで測れないんですよ、本当に。500万、1000万でも楽勝しないのに、いきなり重賞、G1をポンポンと勝っちゃう。不思議でしょうがない。でも、あえて言うなら『乗り役思い』ですかね。余計なことをしないし、僕がシャカリキに追っていれば、必ず反応して、最後は1着で駆け抜けてくれる」
―天皇賞・春に向けての意気込みを。
「受けて立つというより、まだ戦っていない強い馬もいるので、それを負かしてやろうという気持ち。ドンと来い、というより挑戦者の気持ちですね。勝っている馬にも着差はわずかなので、油断はできないです」
◆吉田 隼人(よしだ・はやと)1983年12月20日、茨城県生まれ。32歳。04年3月に美浦・堀井厩舎からデビュー。同年4月24日の東京3R(スターオブアディラ)で初勝利を挙げた。07年にフリー。JRA通算650勝。重賞は15年有馬記念(ゴールドアクター)を含む11勝。実兄は吉田豊騎手。160センチ、48キロ。O型。独身。
クラス | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 | 単勝 | 複勝 |
新馬 | 5- 7- 3- 1/ 16 | 31.30% | 93.80% | 69 | 127 |
未勝利 | 42- 36- 13- 59/150 | 28.00% | 60.70% | 59 | 76 |
500万下 | 66- 37- 20- 88/211 | 31.30% | 58.30% | 80 | 78 |
1000万下 | 14- 11- 5- 17/ 47 | 29.80% | 63.80% | 90 | 90 |
1600万下 | 1- 4- 0- 7/ 12 | 8.30% | 41.70% | 16 | 57 |
OPEN特別 | 3- 4- 0- 2/ 9 | 33.30% | 77.80% | 93 | 106 |
G2 | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.00% | 50.00% | 105 | 60 |
重賞 | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.00% | 50.00% | 105 | 60 |
牝馬限定 | 23- 21- 7- 27/ 78 | 29.50% | 65.40% | 72 | 86 |
ハンデ戦 | 9- 6- 1- 11/ 27 | 33.30% | 59.30% | 106 | 87 |
500万下* | 3- 2- 2- 7/ 14 | 21.40% | 50.00% | 45 | 72 |
平場 | 89- 68- 29-117/303 | 29.40% | 61.40% | 66 | 78 |
特別 | 43- 31- 12- 58/144 | 29.90% | 59.70% | 85 | 84 |
(混合) | 63- 49- 20- 84/216 | 29.20% | 61.10% | 73 | 82 |
(国際) | 2- 1- 0- 2/ 5 | 40.00% | 60.00% | 100 | 84 |
(指定) | 1- 1- 0- 0/ 2 | 50.00% | 100.00% | 120 | 130 |
[指定] | 81- 61- 25- 99/266 | 30.50% | 62.80% | 71 | 81 |
(特指) | 13- 10- 6- 19/ 48 | 27.10% | 60.40% | 62 | 80 |
別定 | 3- 3- 0- 3/ 9 | 33.30% | 66.70% | 93 | 91 |
馬齢 | 50- 45- 18- 67/180 | 27.80% | 62.80% | 59 | 80 |
定量 | 70- 45- 22- 94/231 | 30.30% | 59.30% | 78 | 79 |
2歳限定 | 17- 12- 7- 18/ 54 | 31.50% | 66.70% | 70 | 83 |
3歳限定 | 34- 35- 11- 49/129 | 26.40% | 62.00% | 55 | 80 |
3歳以上 | 52- 23- 18- 47/140 | 37.10% | 66.40% | 97 | 89 |
4歳以上 | 29- 29- 5- 61/124 | 23.40% | 50.80% | 63 | 70 |